甲斐犬の子犬はよく噛みますが、その多くは歯の生え変わりや好奇心による「甘噛み」で、成長とともに落ち着いていきます[1]。うちの甲斐犬「やぶ」も、子犬期は手も服もケージまで何でも噛みましたが、今ではほとんど噛みません。一方で、威嚇をともなう「本気噛み」は甘噛みとは別問題で、早めの社会化と一貫した対応が鍵になります。この記事では、両者の違いと、やぶの実体験をもとにした対処法をお伝えします。
この記事の要点
- 甲斐犬の噛みは「甘噛み(子犬期・一時的)」と「本気噛み(要対策)」に分けて考える
- 子犬の甘噛みは歯の生え変わりや好奇心が主な原因で、1〜2歳頃までに落ち着くことが多い
- やぶも子犬期は何でも噛んだが、おもちゃへの誘導と一貫した対応で今は落ち着いた
- 体罰や手で叱るのは逆効果。噛んでいいものに誘導して褒めるのが基本
- 唸り・威嚇をともなう本気噛みが出たら、早めに専門家に相談する
まず結論|甲斐犬の噛みは「甘噛み」と「本気噛み」を分ける
甲斐犬の噛みで悩んだときは、まず甘噛みなのか本気噛みなのかを見分けることが大切です。原因も対処法もまったく違うためです。
| 項目 | 甘噛み | 本気噛み |
| 主な時期 | 子犬期に多い(一時的) | 子犬〜成犬。放置でエスカレートも |
| 主な原因 | 歯の生え変わり・好奇心・要求 | 恐怖・警戒・防衛・縄張り意識 |
| 様子 | 加減がある。遊びの延長 | 唸り・歯をむく・体をこわばらせる |
| 対処の方向性 | おもちゃに誘導して褒める | 原因の除去+早めに専門家に相談 |
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【実体験】甲斐犬「やぶ」の噛み記録
ここからは、実際に甲斐犬「やぶ」(オス・2023年3月生まれ)を子犬期から育てたやぶ家のリアルな記録です。
子犬期:手も服も、何でも噛んだ
迎えた当初のやぶは、とにかく何でも噛みました。手や服はもちろん、家具にも口が伸びます。動くものに反応してじゃれつくことも多く、正直「これが甲斐犬か…」と身構えた時期でした。
ケージ・サークルにも噛みついた
やぶは子犬の頃、ケージが大嫌いで、金網の部分に噛みついていた時期もありました(幸い破壊はしませんでした)。当時は「ケージ=閉じ込められる嫌な場所」という認識だったのだと思います。そこで、ケージを罰の場所にせず、中でおやつをあげたり安心して眠れる場所にする工夫を続けました。今では「ハウス」「お留守番」のコマンドで、やぶのほうから自分でケージに入るようになっています。
なお、子犬期は夜寝る前や朝方のギャン泣きもあり、集合住宅ということもあって近隣への配慮に気を使いました。
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いつ落ち着いた?
やぶの場合も、一般的に言われるとおり成長とともに噛みは落ち着いていきました。獣医師監修の情報でも、甘噛みは1〜2歳になる頃には精神的な落ち着きとともに減っていくとされています[1]。成犬になった今のやぶは、来客にも穏やかで、日常的に人を噛むことはほとんどありません。
| 時期 | やぶの様子 |
| 子犬期(迎えた頃) | 手・服・家具・ケージまで何でも噛む |
| 成長期 | おもちゃへの誘導と一貫した対応で徐々に減少 |
| 成犬の現在 | ほとんど噛まない。ハウスも自分から入る |
なぜ甲斐犬の子犬は噛むのか【5つの原因】
子犬の甘噛みには、主に次のような原因があるとされています[1]。
- 歯の生え変わり:乳歯から永久歯に生え変わる時期に、歯がむず痒くて手当たり次第に噛む
- 好奇心:いろいろな物の感触を口で確かめている
- 要求:かまってほしい、遊んでほしいという気持ちの表れ
- 手=おもちゃの誤認:手で遊ばせていると「手は噛んでいいもの」と学習してしまう
- 威嚇:嫌なことをやめてほしいという意思表示(この場合は本気噛みに近い)
甲斐犬ならではの背景
甲斐犬は、感覚が鋭く警戒心に富むとされる狩猟犬です[4]。そのため、噛む力もそれなりに強く、警戒からくる噛みが出ることもあります。ただし、これは個体差や社会化の度合いで大きく変わります。やぶは、子犬の頃から人や音への慣れに力を入れている甲斐犬専門の犬舎から迎えたこともあり、警戒からくる噛みはほとんど出ませんでした。
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【手順】甲斐犬の甘噛みをやめさせる5ステップ
やぶ家でも実践した、甘噛みへの基本的な対応です[1]。
- 噛んだ瞬間に遊びを中断する:噛まれたら「痛い」と短く伝え、遊びをやめてその場を離れます
- 低く落ち着いた声で伝える:家族全員が同じ言葉・同じトーンで対応します
- 噛んでいいおもちゃに誘導する:手や服の代わりに、丈夫なおもちゃを与えます
- 噛むのをやめたら褒める:正しい行動をしたときにしっかり褒めます
- これを一貫して繰り返す:家族で対応を統一し、根気よく続けます
やぶで効いたこと・失敗したこと
やぶの場合、手で遊ばせてしまうと「手=おもちゃ」と学習して逆効果でした。手ではなくおもちゃを使うように徹底してから、噛みが落ち着いていきました。ケージも、罰の場所にせず安心できる居場所として使い続けたことが、結果的に噛み対策にもつながったと感じています。
やってはいけないNGしつけ
近年は、罰や体罰ではなく報酬ベース(できたら褒める)のしつけが推奨されています[3]。次のような対応は避けましょう。
- 叩く・大声で怒鳴るなどの体罰:恐怖心から、かえって噛みが悪化することがあります
- 手で叩いて叱る:手を怖がる、または手にじゃれつく原因になります
- ケージを罰の場所にする:安心できる居場所であるべきケージを嫌いにさせてしまいます
本気噛み・唸りが出たときは
甘噛みとは違い、唸る・歯をむく・体をこわばらせるといったサインをともなう本気噛みは、恐怖や防衛が背景にあることが多く、独学での対応が難しい場合があります。
社会化の観点では、環境省のガイドラインでも生後3ヶ月齢頃までに社会性を身につけることが望ましいとされています[2]。子犬期の社会化はその後の問題行動の予防に大きく関わります。すでに本気噛みが出ている場合や、家族が手に負えないと感じる場合は、早めにかかりつけの獣医師や、犬の行動に詳しいトレーナーに相談することをおすすめします。

甲斐犬の噛み対策で用意したもの(やぶ家の場合)
やぶ家で噛み対策として役立ったものを紹介します。ここで紹介するのは、実際にやぶが使っているものだけです。
- 丈夫な噛んでいいおもちゃ:甲斐犬は噛む力が強いので、壊れにくいものを選びました
- ケージ(アイリスオーヤマ ペットサークル PWSR-1280HV):屋根付き・幅120cmのタイプ。罰の場所ではなく、安心して過ごせる居場所として使っています
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よくある質問(FAQ)
甲斐犬の甘噛みはいつまで続きますか?
個体差はありますが、甘噛みは1〜2歳になる頃には落ち着いてくることが多いとされています。やぶも成長とともに噛みが減っていきました。
甲斐犬は本当に噛む犬種ですか?
子犬期はよく噛みますが、その多くは一時的な甘噛みです。警戒心が強いとされる犬種ですが、社会化や対応次第で大きく変わります。やぶは成犬の今、日常的に人を噛むことはありません。
叱ると噛んでくるのはなぜですか?
叩く・怒鳴るといった対応は恐怖心を生み、かえって噛みを悪化させることがあります。噛んでいいものに誘導して褒める方法に切り替えるのがおすすめです。
ケージを噛むのをやめさせるには?
ケージを罰の場所にせず、中でおやつをあげるなどして安心できる居場所にすることが効果的です。やぶも今では自分からケージに入るようになりました。
成犬になっても噛み癖は直りますか?
甘噛みは成長とともに落ち着くことが多いですが、唸りをともなう本気噛みが残っている場合は、早めに専門家に相談したほうが安心です。
まとめ
甲斐犬の子犬はよく噛みますが、その多くは歯の生え変わりや好奇心による甘噛みで、1〜2歳頃までに落ち着くことが多いです。やぶも子犬期は何でも噛みケージにもかじりつきましたが、おもちゃへの誘導と一貫した対応、そしてケージを安心できる場所にする工夫で、今は落ち着いています。体罰は逆効果なので避け、噛んでいいものに誘導して褒めるのが基本です。唸りをともなう本気噛みが出た場合は、早めに専門家に相談してください。
参考・出典
- 子犬の甘噛み(獣医師監修)|アニコム損保 どうぶつ病気大百科
- 住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン|環境省
- Humane Dog Training Position Statement|AVSAB(米国獣医動物行動学会)
- 甲斐犬|日本犬保存会

