甲斐犬のしつけは一般論として「難しい」と言われることが多い犬種です。日本犬全般に共通する警戒心の強さや、感覚の鋭敏さに合わせた接し方が必要とされ、洋犬と同じ感覚では対応しづらい、というのは他のメディア・犬訓練士の記述にもよく出てくる話です。
一方で、やぶ家の実際で言うと「(個体差はあると思うが)甲斐犬は賢く、適切なしつけができれば普通に進む」というのが正直な感覚です。やぶ(甲斐犬♂・2023年3月生まれ)を3年育ててきて、特別に難しいと感じたことは多くないというのが本音で、一番大事だと思うのは「信頼関係を作る」「焦らない」の2つだけでした。ただし、これはやぶの個体性とブリーダーさんの社会化に助けられている面もあると感じていて、すべての個体に同じ感覚が当てはまるとは思っていません。
この記事では、甲斐犬のしつけについて 一般論として言われていること と やぶ家で実際にやってみた結果 の両方の観点から、基本・年齢別ステップ・効いた工夫・つまずいたポイントまでを整理します。
甲斐犬のしつけの基本|信頼関係が最優先
甲斐犬は感覚が鋭く警戒心に富む犬種とされています[1]。一方で、ペットメディアでは「聡明で理解力が高い」「コマンドの覚えが早い」と記述されることも多く[3]、やぶも「お座り」「待て」などの基本コマンドは数日で覚えた感覚でした。そのため、力で押さえつけるしつけは通用しにくく、「信頼関係」を軸に「褒めて伸ばす」やり方が合っている上、育てやすい犬種とも言えます。
一般論として、甲斐犬を含む日本犬のしつけは以下の3点が軸になります。
- 信頼関係優先:飼い主との関係を最優先にし、安心して指示を聞ける状態を作る。体罰によるしつけは犬にストレスや恐怖心を与え、攻撃性を引き起こすリスクがあるため推奨されません[4]
- 一貫性のあるルール:家族全員でNG/OKを揃える
- 褒めて伸ばす:できたことをその場で褒め、失敗できつく叱るより「褒める」を中心に据えた方が効果的とされています[3]
そしてもう1つ、しつけを始める前に持っておきたい意識があります。それは「犬が何か問題を起こした時、その原因は基本的に飼い主にある」という責任感です。問題行動の多くは、飼い主の対応や環境設定で防げるもの。この自覚を持って臨むことが、結果的に犬との良好な関係につながると感じています。
「子犬期のしつけ」と「成犬になってからの軌道修正」では難易度が違うので、できれば子犬期から始めるのが理想です[2]。
やぶ家のしつけ年表|何をいつ教えたか
具体的に、やぶに何をいつ教えてきたかを年表形式でまとめます。あくまで1個体の例ですが、ペースの参考にしてください。
| 時期 | 取り組んだしつけ | 結果・気付き |
| 子犬期(〜3ヶ月) | トイレ、噛み癖の境界、名前を覚える | 外に散歩に行くようになってからは、トイレは外でしかやらなくなりました。 |
| 幼犬期(3〜6ヶ月) | お座り・待て・ハウス、社会化(他の犬と積極的に触れ合わせる)、来客対応 | 社会化は非常に重要だと実感。やぶも子犬期に多くの犬と触れ合わせた。お座り・待ては数日で習得 |
| 若犬期(6〜12ヶ月) | お留守番、リードコントロール | お留守番は短時間から徐々に。共働きでも対応できるレベルに |
| 成犬期(1歳以降) | ハーフチョーク導入、ドッグラン経験 | 引っ張りが大幅改善。他犬との距離感も上手になる |
特に幼犬期の社会化は、やぶ家でも意識的に時間を使ったポイントでした。色々な犬や人と触れ合う機会を作っておくと、その後の散歩や来客対応で困ることが格段に減る印象です。なお、社会化は子犬の感染リスクを避けるため、すべてのワクチンプログラム(通常3回)が完了してから開始するのが良いと言われています。(やぶの完了後から行いました)
甲斐犬のしつけで押さえたい7つのポイント
1. トイレトレーニング
子犬期にまず取り組むのがトイレです。決まった場所にトイレシートを置き、成功したらすぐに褒める。失敗しても叱らないのが鉄則です。叱るとトイレを我慢するようになるリスクがあります[3]。やぶはしばらくすると覚えましたが、散歩に出るようになってからは一切家の中ではしなくなりました。
2. 噛み癖の境界
子犬期は何でも噛みます。やぶも例外なく、ソファ・コード・スリッパ・椅子の足まで、、、。なんでも噛みます。笑 やぶ家で行っていた対策は以下の3つです。
- 噛んでいいおもちゃを常備(人の手や家具とは噛み心地が違うもの)
- 噛まれたら「痛い!」と短く声を出してすぐ手を引く
- 噛んでいい/ダメの境界を一貫して示し続ける
3. ハウスコマンド
「ハウス」と言ったらケージにおやつを入れる→入ったら褒める、を繰り返して定着させました。今では「ハウス」「お留守番」のひと言ですぐ入ります。
ハウスの定着は、その後のお留守番・来客対応・病院・移動すべてに効くので、優先的に取り組む価値があります。
4. お留守番
やぶ家は共働きなのでお留守番は必須でした。最初は5分→15分→1時間→半日と徐々に延ばしていきました。短時間から始めることがコツです。
5. 散歩中のリードコントロール
甲斐犬は運動能力が高く、引っ張られると飼い主が振り回されます。やぶ家では、最初はハーネスを利用していましたが、1歳を過ぎてからハーフチョーク首輪も導入しました。散歩中のコントロールが楽になりました。
甲斐犬向けのおすすめグッズ(リード・首輪・ケージなど)については、こちらもどうぞ。

6. 来客対応
甲斐犬は警戒心が強い犬種とされますが、子犬期からいろいろな人に会う機会を作っておくと、穏やかに迎えられるようになります[2]。やぶは現在、来客にも尻尾フリフリの穏やかな反応を示すタイプに育ちました。
7. 食事マナー
食器を出した時に飛びつかない・「待て」ができる、というのは安全面でも大事です。やぶは食欲旺盛(特に肉系)なので、ここは「待て」を徹底しました。
今では目の前にご飯があっても「待て」のコマンドで、比較的長時間待つことが出来ます。
やぶ家がしつけで意識した2つのこと

実体験ベースで、意識したことを2つ挙げます。
工夫1:散歩で他犬と挨拶する機会を意識的に作った
子犬期の社会化は重要ですが、それは1回で終わるものではなく、継続することが大切だとやぶ家では感じています。散歩中にすれ違う他犬とは、相手の飼い主さんと相性を確認しながら、できるだけ挨拶させるようにしました。いろいろな体格・性格の犬と接する経験を積んだ結果、ドッグランや病院など他犬がいる場面でも落ち着いて過ごせるタイプに育っています。
工夫2:褒めるが基本だが、厳しく叱ることも行った
体罰NG・褒めて伸ばすが基本とはいえ、やぶ家ではダメなことは厳しく叱ることも行いました。たとえば、危険なものを口に入れようとした時、飼い主が怪我をするくらいの強さで噛んだ時など安全に関わる場面では短くはっきり「ダメ」を伝えています。叩く・蹴るといった体罰ではなく、低いトーンの声と決然とした態度で「これはやってはいけない」と一貫して示すことが、子犬期にこそ効くと感じています。
やぶ家のケースは「運が良かった」可能性もある
ここまでやぶ家で効いたしつけを書いてきましたが、正直なところ、しつけについて「十分にやれた」という自信はありません。
やぶは元々穏やかな性格で、人にも他の犬にも攻撃的になることがほとんどありません。そのため、「しつけがうまくいっている」ように見えても、実際はブリーダーさんの社会化の取り組みと、やぶ本人の性格のおかげで問題になっていないだけかもしれません。
だから、この記事で紹介したやり方をそのまま踏襲したとしても、必ずしも同じ結果になるとは限りません。一般論として参考にしつつも、愛犬の個体差を見ながら調整していただいた方が良いと思います。
逆に、もし現在しつけで難しさを感じている方がいたら、「飼い主が下手だから」と自分を責めすぎないでほしいとも思います。ブリーダー・トレーナー・獣医師など、専門家の手を借りる選択肢はいつでもあります。
つまずきポイント|やぶでも苦戦した3つ

完璧にいったわけではないので、苦戦した部分も正直に書きます。
- 子犬期のギャン泣き:夜寝る前や朝方に高い声で泣くことがあり、マンション住まいだったので隣人に申し訳なく感じました。徐々に減りましたが、最初の数ヶ月はメンタル的にもキツかったです
- お風呂嫌い:これは今も継続中です。月1回のシャンプー時は逃げ回ります(笑)
- 散歩中の拾い食い:これはいまだに直っていません。落ちているものを見つけると一瞬で口に入れようとするので、リードを短く持って常に視線で先回りするしかない、というのが今の対応です
これらは時間が解決するパターンもあれば、お風呂のように体質的に変わらないものもあります。「個体差を受け入れる」も大事な姿勢だと感じます。
こんな時はプロに相談|トレーナー活用
家庭で対処できないレベルの問題行動があれば、専門のドッグトレーナーや動物病院の行動診療科に相談するのがおすすめです[4]。
特に以下のような場合は、早めに相談を検討してください。
- 噛みが甘噛みのレベルを超え、家族にけがをさせる
- 家族以外への激しい警戒・攻撃が継続している
- 環境音への過度な反応が続く
- お留守番中に過剰に吠える/物を壊す
専門家を入れることでスムーズに解決できるケースも多いです。
よくある質問(FAQ)
Q. 甲斐犬は本当にしつけが難しい?
個体差はありますが、やぶ家の3年の感覚では「賢くて、適切なしつけができれば普通に進む」というのが本音です。日本犬全般の特性(信頼関係優先・警戒心強め)に沿ったしつけを意識すれば、十分に手応えはあります[1]。
Q. 子犬期に絶対やっておきたいしつけは?
トイレ・噛み癖の境界・ハウスの3つを優先するのがおすすめです。これらが安定すると、その後のしつけがスムーズになります。
Q. 成犬になってからでも遅くない?
遅くはありません。子犬期に比べると時間はかかりますが、信頼関係を一から作り直すつもりで取り組めば、成犬でも覚えてくれます。
Q. しつけ教室は使ったほうがいい?
初心者で不安な場合や、家庭で対処できない問題行動がある場合は活用価値が高いです。やぶ家は使っていませんが、ブリーダーさんに継続的に相談できる環境があったのが大きかったです。
Q. 甲斐犬は留守番できる?
できます。やぶ家は共働きですが、子犬期から短時間→徐々に延長する形で慣れさせ、今では半日以上のお留守番もできるようになりました。
まとめ
甲斐犬のしつけのポイントを整理します。
- 信頼関係が最優先。力での支配は通用しない
- 子犬期の社会化を丁寧に。散歩での他犬交流は継続するとなお良い
- トイレ・噛み癖の境界・ハウスを優先で習得
- 褒めるが基本だが、安全に関わる場面では短く・はっきり「ダメ」も大事
- お留守番は短時間から徐々に延ばす
- 困ったら専門家(ドッグトレーナー・獣医・ブリーダー)に相談を
甲斐犬は決して「飼いにくい」犬種ではありません。むしろ信頼関係を築けたときの喜びは大きく、唯一無二のパートナーになってくれます。やぶ家もこれからもしつけは続いていきますが、3年で実感しているのは「やぶはもう家族」という感覚です。
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