犬のてんかん治療費は、内科治療(投薬+通院)で月5,000〜20,000円が目安とされています。 ただし、犬の体重・薬の種類・検査頻度・病院の料金体系で大きく変わります[1]。この記事では、甲斐犬やぶの飼い主として実際にてんかんと向き合ってきた経験をもとに、リアルな治療費の内訳やペット保険の確認ポイントまで詳しくお伝えします。
犬のてんかんとは?症状と原因をわかりやすく解説
犬のてんかんは、発作(けいれん等)を繰り返す病態の総称です。臨床では原因の考え方として大きく2つに分けて説明されるのが一般的です[6]。
| 種類 | 原因 | 好発年齢の目安 |
| **特発性てんかん** | 原因が特定できない(遺伝的要因が多い) | 生後6カ月〜6歳(あくまで目安) |
| **構造的(症候性)てんかん** | 脳腫瘍・脳炎・外傷など | 年齢問わず |
初回発作が「生後6カ月〜6歳」の範囲にある犬は、特発性てんかんの可能性が相対的に高いとされますが、あくまで目安であり例外もあります[6]。
主な発作の症状
- 全身がけいれんし、意識がないように見える(全般発作)
- 体の一部だけがピクピク動く(焦点発作)
- 口をくちゃくちゃさせる、よだれが大量に出る
- 突然倒れて手足をバタバタさせる
- 発作後にぼんやりしたり、ふらついたりする
発作が起きたときの緊急基準
発作は数秒〜数分で治まることがほとんどですが、以下の場合は緊急対応が必要です[4][5]。
- 5分以上続く発作
- 短時間に発作を繰り返す状態(重積/群発)
このような場合は、すぐにかかりつけの動物病院へ連絡し、受診の指示を受けてください。発作中は無理に口を開けたり押さえつけたりせず、周囲の危険物を取り除いて、発作の様子を動画で記録しておくと獣医師への説明に役立ちます。
犬のてんかん治療費はいくらかかる?費用の内訳
てんかんの治療費で一番気になるのは「結局いくらかかるの?」ということだと思います。ここでは一般的な治療費の目安をまとめました。自由診療のため、金額は病院・地域・検査内容で変動します[1]。
検査費用(目安)
| 検査項目 | 費用目安 | 備考 |
| 血液検査 | 5,000〜15,000円 | 基本検査。他の疾患の除外に必要 |
| MRI検査 | 50,000〜100,000円 | 脳の構造的異常を確認。全身麻酔が必要[2][3] |
| CT検査 | 30,000〜60,000円 | MRIの代替として実施されることもある |
| 脳脊髄液検査 | 20,000〜40,000円 | 脳炎などの除外に使用 |
初回の診断では、血液検査に加えてMRI検査を実施することが多く、検査だけで5〜10万円ほどかかるケースもあります。ただし、検査内容の組み合わせ次第で増減するため、あくまで目安として考えてください[1]。
月々の治療費(内科治療の場合)
| 項目 | 費用目安 | 頻度 |
| 抗てんかん薬(フェノバルビタール等) | 3,000〜10,000円 | 毎月 |
| 定期診察 | 1,000〜3,000円 | 月1〜2回 |
| 血中濃度検査 | 3,000〜8,000円 | 数カ月に1回 |
月々の維持費は5,000〜20,000円程度が目安として紹介されることがあります[1]。てんかんは基本的に長期投薬が必要なので、この費用が毎月かかり続けるということは覚悟しておいた方がいいです。
フェノバルビタールなど一部の薬剤では血中濃度測定が行われ、開始・増量後にチェックし、安定していれば6〜12カ月ごとといった説明もあります(発作状況や副作用で間隔は調整されます)[12][13]。
外科治療の場合
脳腫瘍などが原因の場合は外科手術が必要になることもあり、その場合は30〜100万円と高額になる可能性があります(部位・入院期間・施設で大きく変わります)[1]。
甲斐犬やぶのてんかん体験談|発症から現在まで
ここからは、うちの甲斐犬やぶが実際にてんかんを発症したときのことをお話しします。同じ悩みを持っている飼い主さんに「自分だけじゃないんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。
突然の発症|2024年7月27日
やぶがてんかんを発症したのは、2024年7月27日、1歳4カ月のときでした。
その日は、ワンちゃんと一緒に楽しめる複合施設に車で2時間かけて遊びに行った日です。たっぷり遊んで帰宅し、やぶもぐっすり寝ていたのですが、深夜2時頃、寝ている状態から体を起こした瞬間に、頭だけが揺れるけいれんが起きました。
元気いっぱいな子だったので、てんかんなんて夢にも思っていませんでした。正直めちゃくちゃ焦りました。何が起きているのか分からなくて、ただただパニックになったのを今でも覚えています。
深夜でしたが、すぐに24時間診療の動物病院に救急で駆け込み、そのまま翌日まで入院することになりました。翌日、セカンドオピニオンとしていつもの病院でも再検査を受けました。
発作の様子や、そのときの対応については、こちらの動画で詳しくお話ししています。
発作の経過|最初は頻繁、今はほとんどなし
発症当日は複数回の発作が起きました。その後も翌日に1回、3日後に1回、4日後に2回と、最初の頃は頻繁に発作がありました。
1カ月くらいは週1回程度の頻度で発作が続いていて、「この先どうなるんだろう…」と不安でいっぱいでした。
1回の発作は数分程度で、前兆は特にありません。発作中は頭が揺れて体が思うように動かせず、やぶ本人も何が起きているか分かっていない様子でした。
一番つらかったこと
診断を受けたとき、正直信じられない気持ちでした。まさかあんなに元気いっぱいだった子がてんかんになるなんて。
一番つらかったのは、発作を起こしている姿を目の前で見たときです。言葉を発せず、辛い・しんどいとも言えず、ただ健気に耐えている姿を見たとき、本当に胸が締め付けられました。
治療の開始と現在の様子
動物病院で処方されたのは、抗てんかん薬のエピレス(40mg)です。毎日2回、欠かさず飲ませています。
薬を飲み始めてから発作の頻度は大幅に減少し、現在はほとんど発作が出ずに過ごせています。通院は薬をもらいに行くだけで、2カ月に1回のペースです。
最初は「この先ずっと薬を飲み続けるのか…」と不安でしたが、今では日常の一部になっています。
現在のやぶの様子については、こちらの動画でお伝えしています。
やぶの実際の治療費
参考までに、やぶの場合にかかった実際の費用をお伝えします。
| 項目 | 費用 | 備考 |
| 初日の救急(検査+入院) | 約6万円 | 深夜の24時間病院。通常より割高 |
| セカンドオピニオン(再検査) | 約2〜3万円 | 翌日、いつもの病院で再検査 |
| 初期費用合計 | 約8〜9万円 | ※MRI検査は未実施 |
| 月々の治療費(薬代+診察) | 約5,000〜7,000円 | 通院は2カ月に1回ペース |
| 年間トータル | 約6〜8.4万円 | 初期費用を除く維持費 |
想定外に高かったのは、深夜の救急費用です。24時間対応の病院は通常より検査費も割高になるので、初日だけで約6万円がかかりました。
体験談の金額はあくまで「一例」であり、地域・病院・治療方針で変わります。特に、初回にMRI/CTを実施するかどうかで総額が大きく動きます[1][2]。
てんかんで悩んでいる飼い主さんへ
てんかんの治療では、飼い主だけでは何が最善か判断できないことがたくさんあります。信頼できる獣医師を見つけることが本当に大事だと実感しています。
また、飼い主仲間の中にもてんかん持ちの愛犬と長く暮らしている方がいて、その方の話を聞いて気持ちがすごく楽になりました。同じ悩みを持っている人は、自分だけじゃありません。この記事が少しでも不安を和らげるきっかけになれば嬉しいです。

犬のてんかんはペット保険で補償される?
てんかんの治療費を見て、「ペット保険に入っておけばよかった…」と思った方もいるかもしれません。
結論として、てんかんが補償対象かどうかは「商品ごとに異なります」。同じ会社でも商品タイプで扱いが変わる場合があります[7]。
てんかんと保険で確認したい4つのポイント
| 確認ポイント | 内容 |
| **加入前(既往症)の扱い** | 加入前に発症・診断されていると補償対象外になりやすい |
| **待機期間** | 待機期間中の病気は対象外になる設計が一般的(日数は商品で異なる)[8][9] |
| **補償対象/対象外の明記** | FAQ等で「てんかん:対象/対象外」を明示する商品がある[7] |
| **継続(更新)時の扱い** | 継続で条件変更が原則ないと案内している会社もある。約款・重要事項説明書で確認が必要[10][11] |
ペット保険は入っておくべき?
正直なところ、やぶがてんかんを発症する前は「健康だし保険はいらないかな」と思っていました。実際、うちは保険に加入していません。
でも、てんかんを発症してみて思ったのは、「入っておいた方が安心はできた」ということです。どれだけお金がかかろうが最善の治療をするという決断は変わりませんが、不測の事態が起きたときに心の余裕が違うと思います。
そして重要なのが、てんかん発症後は保険に入れない、もしくは「疾病不担保」となり同じ病気では保険が使えなくなるということです。保険は元気なうちにしか入れません。
今回のやぶではないですが、てんかんに限らず、犬は思わぬ病気やケガをすることがあります。 正直、筆者はペット保険が必ず必要だとは考えていません。しかしながら、治療判断の一部になるであろう、お金の心配を少しでも減らせる保険は愛犬が元気なうちに検討する価値が十分あると考えています。
てんかんと向き合うために飼い主ができること
治療費の負担を少しでも軽くするために、以下のことを意識しておくと良いです。
- 発作の記録をつける — 日時・持続時間・様子(可能なら動画)を記録しておくと、獣医師の診断に役立ちます[4]
- 自己判断で薬を止めない — 中止や変更は獣医師と相談が前提です。勝手にやめると発作が悪化するリスクがあります
- 検査の優先順位を獣医師と相談する — 画像検査(MRI等)が必要か、いつ行うかは症状・年齢・神経学的所見で変わります[6]
- 保険は「商品ごとの条件」を確認する — てんかんが対象外の商品もあるため、FAQ/約款で必ず確認してください[7]
まとめ
犬のてんかん治療費は、内科治療(投薬+通院)で月5,000〜20,000円が目安と紹介されることがあります[1]。MRIなどの画像検査は約5〜10万円の例があり、初回の総額は検査内容で増減します[2][3]。
発作が5分以上続く/連続する場合は緊急です。すぐ動物病院へ連絡してください[4][5]。
うちの甲斐犬やぶの場合は、初期費用で約8〜9万円、月々約5,000〜7,000円、年間で約6〜8.4万円ほどかかっています。てんかんは長期間の投薬が必要な病気なので、年間で見ると決して安くはありません。
大好きなやぶ、おそらくいくらお金がかかろうが私たちは最善の治療を選択するのだろうと思います。保険に入っていないから治療を諦めるわけではありませんが、不測の事態に対してお金の心配を少しでも減らす意味ではペット保険への加入は有効だと感じました。なお、ペット保険は商品によっててんかんが対象/対象外に分かれるため、事前確認が重要です[7]。てんかん発症後は保険加入が難しくなるので、健康なうちの検討が大切です。
そして、発症した場合は焦らず、信頼できる獣医師と相談しながら治療を進めていくことです。同じ悩みを持っている飼い主さんは、自分だけではありません。
この記事が、てんかんの治療費に不安を感じている飼い主さんの参考になれば幸いです。
よくある質問(FAQ)
Q. 犬のてんかんは完治しますか?
特発性てんかんの場合、完治は難しく、薬で発作頻度をコントロールしていくのが一般的です。ただし、適切な投薬で発作の頻度を大幅に減らすことは可能です。方針は獣医師と相談してください[6]。
Q. てんかんの薬は一生飲み続ける必要がありますか?
多くの場合、長期的な投薬が必要です。中止や減薬は発作状況によって判断が変わるため、自己判断で薬を中止すると発作が悪化するリスクがあります。必ず獣医師と相談してください。
Q. てんかんの発作中、飼い主はどうすればいいですか?
まず安全確保(周囲の危険物を避ける)と記録(時間・動画)を行ってください。発作中は無理に口を開けたり押さえつけたりしないでください。5分以上続く場合や連続する場合は、すぐに動物病院に連絡しましょう[4][5]。
参考・出典
- 犬のてんかんの症状と原因、治療法について|PS保険
- MRI検査|ベイサイドアニマルクリニック
- 犬の脳炎…MRI検査代の参考例|wanchan.jp
- ACVIM Consensus: Status epilepticus/cluster seizures management|PubMed
- てんかん発作の緊急基準|渓谷動物病院
- IVETF International veterinary epilepsy task force consensus|PMC
- てんかんは補償の対象?|楽天損保FAQ
- 待機期間の説明|PS保険
- 待機期間30日|ペットファミリー
- 継続で条件変更が原則ない旨|アニコム損保FAQ
- 継続条件の案内|アイペット損保
- フェノバルビタール血中濃度のモニタリング例|VIN Veterinary Partner
- 安定後の血中濃度検査頻度|Texas A&M TVMDL

